「パスポートを盗られてしまった!」
「突然体調が悪くなった!」
「財布をどこかに置き忘れた!」
あなたがもし、海外旅行をしたことがあるのであれば、
現地で何らかのトラブルに遭ったことはありませんか?
言葉が通じない異国でトラブルに遭うのは、どれだけ不安なことでしょう。
冷静さを失い、適切に対処できないこともあります。
そんな時、ツアーに参加していたのなら、添乗員や現地ガイドが
助けてくれたのではないでしょうか。
個人旅行中なら、ホテルのコンシェルジュや駅のインフォメーションの係に
お世話になったのでは?
パニック状態の時に助けてくれる存在はどれほど頼もしいか分かりません。
そう、通訳ガイドは訪日客にとって、その頼れる存在なのです!
有事の時には、パニックになるお客様に寄り添い、
冷静に適切な判断・指示をする必要があります。
そのためには普段から、何かあった時のことを
イメージトレーニングして、すばやく対処できるようにしておきましょう。
ここでは、各種トラブルの際の対応策と知っておくべき連絡先を
書いていきます。
トラブル発生!ガイドが一番始めにすることは
トラブルはいつ発生するか予想もつきません。
観光中かもしれないし、移動中のバスの中かもしれないし、
はたまた真夜中に、突然電話で起こされるかもしれません。
問題が発生したら、ガイドが一番にしなくてはいけない事は・・・
とりあえず自分自身が落ち着くことです。
一緒になってパニックになってしまったら、どうしようもありません。
まずは冷静に(少し冷たく感じるかもしれませんが・・・)お客様から
出来るだけ詳細を聞きだしましょう。
そして、その状況に合わせて適切に対処します。
ここでは3つのケースについて考えてみましょう。
- パスポートが見つからない!
- 夜中に突然体調が悪くなった!
- お財布をどこかに置き忘れてしまった!
他にも数えきれないくらいのトラブルの例はありますが、
よくある代表的なものから、まずは書いていきます。
私自身は、通訳ガイドとしての経験はないのですが、
元添乗員として海外で経験してきたことですので、
場面を日本に置き換えて考えてみたいと思います。
なお、エージェントからの仕事の場合、トラブル発生時には
もちろん担当者に連絡することは絶対に必要です。
ただ、連絡がつかないことや、指示を仰いでいては間に合わないということも
あります。
また、「どうしたら良いのでしょう」と聞くより、「こう対応して良いですか」と
ただ判断を仰ぐより、提案して許可してもらう、の方が
お客様からだけではなくエージェントからの信頼も後々得ることが出来ます。
観光中にパスポートがない事に気付いた!
日本人のパスポートは人気なのか、海外旅行をしていると
本当によく狙われます。
恥ずかしながら、私も個人旅行中に1度盗られたことがあります😣
だからこそ、その大変さは身に染みてよ~く分かっています。
何しろ、予定通り自国に帰れなくなってしまうこともありますから。
さて、日本国内で外国人のパスポートが盗まれる可能性は
日本人が海外に出た時と比べれば断然低いでしょう。
しかし、全くないわけではありませんし、単純に失くしてしまうこともあります。
ちなみに、パスポートをホテルに置いて観光に出かけるのはダメです。
買い物などの際にパスポートの提示の必要があるから・・・
ということもありますが、そもそもパスポート携帯は
入管法第23条で義務づけられています。
間違っても、ホテルの金庫に預けておきましょう、と案内しないように!
はい、では話を戻して、
お客様からパスポートがなくなりました!と言われたら・・・
大使館もしくは領事館に連絡をする
お客様の自国(パスポート発行国)にまずは連絡を入れましょう。
連絡先はスマホなどでもすぐに調べられますが、
大使館・領事館リストは常に持っておくと安心です。
大使館員や領事館員が次に何をすれば良いか、親切に教えてくれる場合もあります。
遺失届出受理証明書を発行してもらう
近くの警察署・交番へ行き、遺失届出受理証明書を発行してもらいます。
フリータイムなどがある場合は、ガイドが付き添ってあげれば良いですが
他のお客様を案内しなくてはいけない場合は、添乗員がいれば添乗員が一緒に、
お客様がひとりで行けそうな場合は、担当者に渡すメモなどを
日本語で書いてあげて、自分で行ってもらいましょう。
大使館もしくは領事館に訪問日時を予約する
必ず事前に訪れる旨を電話で伝えておきましょう。
その際に、必要な書類などを確認しておいた方が良いです。
一般的に必要な書類など(国によって違います):
- 遺失届出受理証明書
- パスポート用写真
- その国の国籍を証明するもの(失くしたパスポートのコピーなど)
- 個人を特定するID(運転免許証など)
- 旅程が書かれたもの(飛行機のチケットなど)
- パスポート申請料
電話の際にはあらかじめ、出国予定日も伝えておきましょう。
正規のパスポートを発行する時間がない場合には、
“Emergency passport” や ”Emergency travel document”
(日本人でいうところの「帰国の為の渡航書」)を代わりに
発行してもらえる国もあります。
大使館や領事館が近くにある滞在先なら良いのですが、
遠くにある場合は、どうするかお客様とよく相談する必要があります。
先にお客様だけ大使館や領事館のある都市へ向かってもらう場合、
いつどこで合流するかを詳しく打ち合わせておく必要があります。
ホテルの手配などはエージェントにまかせましょう。
出国前に上陸許可証印をもらうことを忘れずに
無事にパスポート(または帰国の為の渡航書)をもらうことが出来ました!
しかし、もうひとつ、忘れてはいけないのが、出国前に
出入国在留管理庁に行って、上陸許可証印をもらうことです。
なぜなら、新しいパスポートには入国時に押してもらった上陸許可証印がなく、
いつ入国したか分からないからです。
出入国在留管理庁に行く際には、新しいパスポートと遺失届出受理証明書を
持って行きましょう。
空港内にも出入国在留管理庁がある場合もあります。
出国当日に上陸許可証印をもらう予定の場合は
予めそれが可能かどうか聞いておいた方が良いですね。
※2019年に入国管理局から出入国在留管理庁に名前が変更になりました
パスポートは失くさないように重々注意!
パスポート、失くしてしまうと本当に大変ですね。
せっかくの旅行が台無しになってしまいます。
失くさないことが1番なので、お客様には普段から
うっとうしがられるくらい「気をつけて!!」と言っておきましょう!
ここに出てきた書類名、英語でも記載しておきます。
遺失届出受理証明書・・・notification of lost property
出入国在留管理庁・・・Immigration Service Agency
上陸許可証印・・・”Landing Permission” seal
恐怖の夜中の電話!体調が怪しいと思ったらすぐ病院へ!
次は、病気に関する緊急事態です。
病気の時はどう対応したら良いの
最近では、若い人から年配の方まで色々な年齢層の方が
日本を訪れてくださるようになりました。
旅行が簡単に出来るようになった分、
なかには年配の方で、持病持ちの方もいらっしゃるでしょう。
無理な行程ではないものの、やはり慣れない土地での滞在に
疲れが出てしまうこともあるかもしれません。
ちょっとした疲れならゆっくり休んでもらえば良いのですが、
明らかに見た目にもおかしいことも。
宿泊を伴うツアーに参加していると、
担当添乗員やお連れの方からホテルの部屋に突然に連絡がくることもあります。
夜中に電話してくるともなると、緊急性は高そうです。
怪しいと思ったら・・・すぐに病院に連れていきましょう。
医学の知識がない以上、勝手な判断は命取りになりかねません。
※緊急の場合は、救急車をすぐに呼んでください。
お客様が立てるようなら、タクシーを呼んで一緒に行けば良いのですが、
診察の際には、症状を本人から話してもらわないといけません。
出来るなら、外国語対応をしている病院に行くのが望ましいです。
普段から、なるべく外国人対応の病院をリストアップしておきましょう。
病院に行く前に
病院に行く前に、まずお客様に保険の有無を確かめましょう。
日本国内で医療機関にかかると、高額な治療費が請求されるケースがあります。
海外旅行保険に入っている場合は良いのですが、入っていない場合は
お客様の国の医療保険の内容など確認しておいた方が良いです。
行く病院が決まったら、出来るだけ先に電話を掛けて訪問の予定を知らせます。
念のため、費用がどのくらい掛かるか、また支払方法は何か(現金だけのところも)
聞いておくと無難です。
出発前に、保険関係の書類はもちろん、パスポート、常備薬なども
入れたかよく確認してもらいましょう。
病院に到着したら
病院に到着したら受付で手続きをし、海外からの旅行客であることを伝えます。
問診票が渡されますので、お客様に状態を聞きながら(外国語での記入が
可能であれば本人が記入)、なるべく詳しく書き込んでいきます。
現在、飲んでいる薬名なども予め書いておくと分かりやすいです。
必要に応じて、診察室に一緒に入り、可能な限り通訳のお手伝いをします。
海外旅行保険手続きには、病院発行の証明書等(有料)が必要になるので
その発行依頼も医師に忘れず伝えましょう。
診察が終わったら
診察後は、支払いを済ませて、必要な書類を受け取りましょう。
薬が出ている場合は、処方箋を持って薬局へ行き、薬を受け取って
費用を支払います。
ここでも、海外旅行保険の手続きに必要な書類は忘れずに依頼しましょう。
異国の地で、突然体調が悪くなるのはとっても不安ですね。
その不安を少しでもぬぐうために、可能な限り側にいてあげると
それだけでも安心されます。
もし、どうしても、自分自身で行けない時は、
日本語が話せるスタッフを手配してあげましょう。
お財布をどこかに置き忘れてしまった!全財産が入っているのに!
財布やお金の置き忘れや落し物、海外旅行中でなくてもよくありますよね。
下ばかり向いて歩いているせいか、私も財布とかカギとか貴重品、結構拾います。
現金だけ○○万円、入った封筒拾ったこともありました。
財布なくしたら、ヨーロッパとかだと、まず99%戻ってこないです。
奇跡的に戻ってきたとしても、財布だけで中身はないことも。
でも、日本では見つかる確率が高いです。
昔、アメリカでホームステイしていた先のファミリーに言われたことがありました。
「京都に行った時にタクシーの中に財布を忘れたんだけれど、
戻ってきてビックリした!それも、諦めてたのにわざわざホテルまで
調べて届けてくれた!」と。
普通の日本人の感覚なら、財布拾ったらまず届けますもんね。
ましてや、タクシーの中なんてどこで忘れたかはっきりしてる場合。
当たり前のことだと思っていたけれど、こういうところ、
日本って素晴らしい国だと思います。
とはいえ、お客様のお財布がなくなったとなったら
そのままにしておくわけにはいかないので、対処しましょう。
落としたであろう場所に連絡する
まずは、お客様に最後に財布を使った場所を聞いて
失くしたであろう場所を特定します。
それが、レストランや土産店などはっきり分かっている場合は
すぐに電話して問い合わせをします。
上手くいけば、ここですぐ見つかります。
失くした場所から、まだ近くにいる場合は
お客様にすぐ取りに行ってもらいましょう。
もし、すでにその場所から離れてしまっている場合は、
施設の方に郵送してもらうことになるので、どこに送ってもらうか
施設の方との相談します。送り先は1つ先くらいの滞在先が良いでしょう。
もちろん、滞在先のスタッフに連絡しておくこともお忘れなく!
※通常の定形郵便やレターパックでは現金を送ることが出来ないため、
現金のみ財布から取り出して、現金書留で送ってもらう必要があります。
どこで落としたのか全く分からない場合
お客様が財布をどこでなくしたのか、全く思いだせない時は
次の2つのことをする必要があります。
- 警察に届け出を出す
- クレジットカードやキャッシュカードを止める
警察に遺失届を出す
最寄りの警察署もしくは交番に行って遺失届を出しましょう。
日本人の場合、ものを失くしたら交番に聞きに行く、のが普通だと思いますが、
外国人の場合行かなくても良い、という方も結構いらっしゃいます。
上にも書きましたが、警察に届けてもどうせ戻って来ない、
という考えが強いからです。
あんまり期待させすぎるのも良くはないですが、日本では貴重品が
戻ってくる確率がかなり高いことを説明して連れていってあげましょう。
もしかしたら、すでに届いているかもしれませんね。
また、海外保険を請求する際(現金には保険は下りませんが、財布自体の)や、
万が一クレジットカードが不正利用された場合に証明として、
遺失届が必要になることもあります。
クレジットカードが入っていた場合は必ず警察に行ってもらいましょう。
今はなんと、警察署・交番に行かなくても、
インターネットで遺失届を出せる自治体もあるようです!!
遺失届には、名前・住所・連絡先・紛失したもの・紛失した日時を記載します。
問題がなければ、あなたの番号も渡しておいてあげましょう。
なくなったものが警察に届いた時、すぐに連絡をしてくれます。
カード類はすぐに利用停止手続きを
カード類は不正利用されてしまうことも、残念ながら考えられます。
そうなる前にすぐに利用停止の手続きを取る必要があります。
クレジットカード会社/銀行の番号を調べて、すぐに電話してあげましょう。
番号の控えがあれば良いですが、なかなか控えを取っている方は少ないです。
通常は名前・生年月日等言えば(もちろん本人がですが)、すぐ調べてくれます。
他の貴重品も同じようにように
財布だけではなく、他にも貴重品を置き忘れてしまったという
ケースはよくあります。
特に、最近では、携帯電話の置き忘れ・盗難が多いですね。
携帯電話の場合は、自分の番号に掛けてもらえば、
拾った相手が出てくれるかもしれませんが、海外からのお客様の場合
繋がらないこともよくあります。
財布や携帯がなくなったら、本人にとっては一大事!
出来るだけ早く出てくるように、助けてあげましょう。
まとめ:トラブルが起きても冷静に
いかがでしたでしょうか。
この3つのケースは、私も海外添乗中に何度も遭遇しました。
慣れないうちは、自分自身もパニックになってしまいがちですが、
とにかく落ち着いて最善の対処することを心がけましょう。
そして、その為には普段から連絡先を用意しておく&イメージトレーニング、
が大事です。
ほかにも、まだまだトラブルケースはあります。
それはまた次回に書いていきます。
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