通訳ガイドってどんな人が目指しているの?
誰でも通訳ガイドになれる可能性はあるよ。ただ、やっぱり通訳ガイドのお仕事をする上で、ある程度の適正は必要かな。どんな人が通訳ガイドに向いているかお話するね。
通訳案内士試験は唯一の英語の国家試験ということで、実際ガイドになるつもりがなくても、資格だけ取りたいという方も多いようです。
実際、試験に合格して現場で働いているのは約4分の1程度なのだとか!
通訳案内士の就業実態等について(少し古いですが、平成26年の国土交通省官公庁のデータ)
そのためなのかどうか分かりませんが、2018年度の試験より単なる語学の試験というよりは、ガイドになる適正があるかどうかを問われる試験に変わってきているようです(筆記も口述も)。
通訳案内士試験というくらいですから、試験自体は実際ガイドとして働く素質や知識、また対応力が問われるのも当然ですね。 そこで、インバウンド業務に現在携わっていて、国内外の添乗員経験のある私が、通訳ガイドに向いている方(というより通訳ガイドとして続けられる方)の特徴を私個人の視点から書いてみたいと思います。
☆通訳ガイドの6つの適正☆
- おせっかい
- 声が大きい/おしゃべり
- 人見知りしない
- 知識を得ることに貪欲/勤勉/知りたがり屋
- はっきり物が言える/気が強い
- 行動力がある
通訳ガイドの適正①:性格はおせっかいなくらいがちょうど良い
私が知っている限り、ガイドや添乗員は、良い意味で本当におせっかいです。よくそこまで人のお世話が出来るわね、ってくらいでちょうど良い。 頼まれる前に、あれはどう?これはどう?となんでもやってしまいます。
道を聞かれようものなら、細かい説明をするだけではなく、じゃあ一緒に行きましょうと、目的地まで連れていって、ついでにそこの名物のひとつも教えてしまうくらい!
自分が電車に乗り遅れそうになっていても、掲示板を見てどの電車に乗るか迷っている外国人を見たら、つい放っておけなくて声を掛けてしまう、など。 でも、これくらい自然に出来てしまうくらいの人でないと、ガイドは務まらないのかもしれませんね。
ガイドや添乗員になると、相手が聞いてくることに答えるだけでなく、お客様が何を希望していらっしゃって、何をアドバイスしたら良いのかを先回りして考えて案内する必要が出てきます。ベテランと呼ばれる方は、はたから見るとおせっかいなほどにいろいろなサービスを提供することができるのですね。
通訳ガイドの適正②:大人数を案内するためには声が大きくないと!
ガイドをしていれば、そのうち嫌でも声は大きくなってくると思いますが・・・
最近は拡声器使う方もいらっしゃいますが、どこでも使えるわけではないので。
多い時は、40名くらいのお客様を相手に、外で全員に聞こえ渡るように話すのは、当然声が大きくなければやっていられません。
人前で大声で話すなんて絶対無理!!という方にはガイドも無理でしょう。 そして、やっぱり皆様色々なお話を、テンポ良く話されます。
バスの中でお話しを聞いていても次から次へとトピックが移り変わり・・・
人が聞いていようがいまいが、ただただ話し続ける!
その精神力がないとガイドは務まりません。バスの中でお客様が全員寝てしまったからと言ってすぐに諦めるようではダメなのです。 ガイドや添乗員様が話している事がありますが、まぁ、いつ息継ぎしているのだろうと感心してしまうことがあります。
極論を言えば、お互い別々の事を言っていても会話が成り立っている・・・
それくらいおしゃべりな人の方が向いているかもしれないですね。
通訳ガイドの適正③:人見知りしている場合じゃない
おせっかいで、声が大きくて、おしゃべりな方で、人見知りの人はそもそもいないと思いますが・・・
人類皆友達!とまではいきませんが、誰とでもすぐ仲良くなれる才能があればガイドになるには向いていると思います。
なにしろ、現場に出ればお客様だけではなく、一緒に働くドライバー様も添乗員様もお店の方もホテルの方もみんな初対面ですからね。
初対面の方といきなり何日か行動を共にするわけです。場合によってはホテルの部屋が一緒になることも?
人見知りなんてしている場合ではないですよね。お客様以外の人ともコミュニケーションが上手く取れないと、ガイドとしては失格です。
通訳ガイドの適正④:勉強はいつまでも終わらない
私の知る限り、ベテランのすごいと言われるガイド様や添乗員様ほど、新しい事に貪欲でものすごく勉強をしています。
知らない事を恥じてはおらず、常にメモを持って気付いた事はすぐ書きとめています。
お客様に教えるため、勉強のため、というのではなく、自分が知らなかったことを知れた!というのが楽しくてたまらないといった感じです。
好奇心が旺盛でなんでも知りたい!そして知った事を伝えたい!という思いに溢れている方はガイドに向いていると思います。
歴史や地理や文化やそういった難しい事だけではなく、例えば『角の饅頭屋が新作のお菓子を販売しはじめた!』なんていうような事も、ガイドにとっては大切な知識です。 くだらないと思える事でも、積み重ねればかなりの情報量となるでしょう。
いつまでも色々なことに興味を持って勉強を続けていく人がガイドに向いています。
通訳ガイドの適正⑤:時にははっきり物を言うことも大切
ガイドをする上でホスピタリティはとても大事!お客様の要望には出来るだけ応えてあげたいですよね。
その努力を惜しまない姿勢はガイドとして絶対に必要だと思います。 しかしながら、時として出来ない事は出来ないとはっきり伝える事も大事。 出来ないと分かっているのに、曖昧にしてお客様に期待を持たせてしまう方が結果的には信頼を失ってしまいます。
自分に出来ることと出来ない事をきっちり把握して、それははっきりと伝える事が必要です。 また、ガイドの仕事は対お客様だけではありません。
無茶を言ったり、上から目線の態度で施設、空港、ホテル、ドライバー様、添乗員様に対応しては当然いけませんが、言うべきところははっきり伝えないとお客様にとって不利な結果になってしまいます。
日本では、幸いあまりないとは思うのですが、外国の添乗をしていると空港で、ホテルで、交渉をしなければいけない場面が多くありました。
例えば、ホテルの部屋が汚かった、といった場合、日本語が話せないお客様に変わってホテル側にきっちり話をしなければいけません。 それが出来ないとお客様から頼りないと思われてしまいます。
ガイドは優しいだけでは務まりません。時にきっぱりと、誰に対しても対応する力が求められます。
通訳ガイドの適正⑥:すばやく対応できる行動力が必要
上の項目と少しかぶってしまいますが、最終的にガイドに求めらる要素は、すばやく対応できる行動力、これに限ると思います。
残念ながら、お客様がガイドに一番に求めているのは、観光地での案内ではありません。有事の際にどれだけ動いてくれるか、です。
通訳ガイドですから観光地案内は出来て当然なのですが、それだけではいけないのです。 外国人の観光客が日本でトラブルに遭ったらどうする?!3つのケースの対処法でも書きましたが、旅にトラブルはつきものです。
パスポートをなくした、お財布/携帯を落とした、怪我をした、体調を崩した、道に迷った、災害に遭った、そんな時にどれだけすばやく動けるか、そこでガイドの力量が問われると思います。
もちろん、エージェントを通してのお客様の場合は担当者と相談することも大切なのですが、そうも言っていられない場合もあります。
考えるよりも先に行動できるようになること、これはもちろん慣れもありますが、普段から有事に備えてどうするかイメージトレーニングしておくことが大切です。
例えば、お客様から財布を落としたと言われたら、まず何をする?思いつくだけのことを紙に書き出してみてください。こうやって練習しておけば、何かあった時にすぐ動けるようになる対応力が身につきます。
ツアーは何事もなく無事に終わって当然。ただ、そのようにお客様側から見えるようにするには裏でガイドやその他スタッフの多大なる努力が必要となってきます。
まとめ:楽しくガイドが出来るのが一番
ガイドに求められる素質、いかがでしたでしょうか。
思いつく限り色々と書いてみましたが、やはりガイド業は楽しく出来るのが一番です。
見ていればすぐ分かると思いますが、ガイドに向いている方はガイドをされている時イキイキとしています。
知らない事やお客様との対応で怖い事もあるけれど、基本は楽しくて仕方ない、といった感じです。
それがガイドとしての素質でしょうか。
なので、通訳案内士試験(特に口述試験)を受ける前には自分がガイドになった気分でお客様に観光地を案内している
想定をして勉強をしてみるのが良いのではないでしょうか。
明るく楽しく、この仕事が楽しくて仕方がない、そう思いながら話す練習をしていると自然と笑顔になり相手も楽しくさせる雰囲気が伴ってくるように思います。
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