日本ならではの、ユニークな伝統文化の体験ってないかしら
それなら、写経をしてみない?世界遺産、奈良の薬師寺には、お写経道場があって、誰でも参加出来るんだよ。心も落ち着くし、良い体験になるよ。
京都と並んで、奈良は日本の古都で、外国人にも大変人気があります。
東大寺や春日大社周辺を半日でまわるツアーも多いですが、せっかく奈良を紹介するのであれば、足をもう少し延ばして薬師寺まで行ってみませんか?
薬師寺での特別な経験として、ぜひ写経をしていただきましょう。自ら手を動かして文字を写し取る行為は、心を静め、集中力を高めるもの。薬師寺の庭園を見渡しながら、古代の智慧に触れる贅沢な瞬間を味わえます。寺の雰囲気に包まれながら、心の整理と癒しを求めるなら、写経は最適なアクティビティです。日常生活ではなかなか体験できない静寂の中で、日本の文化的・体験的な時間を過ごしていただく、とっても良い機会になりますよ。
さらに、時間があれば、薬師寺の観光へもご案内しましょう!写経をすれば、薬師寺の拝観料も無料になります。古都奈良の中心に佇むこの寺には、歴史の息吹と共に穏やかな静寂が広がっています。1998年に、「古都奈良の文化財」として、ユネスコの世界遺産に登録された薬師寺は、奈良時代に建てられた国宝の東塔や、釈迦三尊像といった文化財など、日本の歴史を紹介する上でも大変重要な場所です。ゆっくりと案内したいですね。
特に注目すべきは、大修理を終えたばかりの東塔。長寛2年(1164年)の建立以来の大修理が行われ、その歴史的価値を今に伝えています。この東塔は、奈良のシンボルの一つとして、その姿を誇りに思っています。
この記事では、薬師寺の建物、及び2月に実際に体験してきたお写経道場についてご紹介します。ちょうど梅の時期でとっても綺麗でしたよ。次の奈良の観光にぜひ加えてくださいね!
薬師寺の最寄り駅はどこ?薬師寺への行き方
薬師寺は近鉄電車西ノ京から徒歩すぐ
近鉄奈良駅から近鉄電車(近鉄奈良線)に乗り、そこから大和西大寺で近鉄樫原線乗り換えます。2駅先の西ノ京駅で下車します。駅を出ると薬師寺が見えます。
南門から正式に入ろう
薬師寺の入り口は2つあり、北側の受付は駅の近くにあります。
ただし、正式な入口は南門なので、時間があれば南門から入るのがおススメです。
正面には、東塔と西塔の雄大な景色が見えますよ!
薬師寺は誰が建てたの?薬師寺の歴史
薬師寺は夫婦愛で建てられたお寺
「薬」という言葉からも分かるように、薬師寺は病気を癒し、健康を願うお寺です。
奈良時代中期の白鳳文化期に創建されました。
中央に本尊を祀る金堂があり、その両側(東西)にそれぞれ塔を建てるという日本では初めての配置となっています。
ちなみに、このような配置のことを「薬師寺式伽藍配置」といいます。
元々は、天武天皇が680年に、皇后さまの病気回復を願って建立をはじめました。
その後、皇后さまは元気になられたものの、天武天皇自身が病に倒れ、ついにお寺の完成を見ずに亡くなられてしまいます。
夫の遺言を受け継いで、持統天皇となった皇后さまはお寺を完成させます。
薬師寺はこのように、夫婦の愛情で建てられたお寺なんですね。
とても、りっぱなお寺で、創建時は『竜宮』とも呼ばれていました。
最初は、藤原京(現橿原市)にあったのですが、718年に現在の西ノ京に移転されています。
奈良時代には、東大寺、法隆寺とともに朝廷の保護下にある大寺院でした。
薬師寺の昭和の大改修
しかし、今のような立派な姿はずっと続いていたわけではありません。
実は、昭和の初期の頃は随分と寂れていたのです。
1944年には、地震によって建築物の一部が倒壊もしてしまっています。
その薬師寺の再建を目指して、一役買ったのが、薬師寺の管長、高田好胤(こういん)さんでした。
分かりやすい法話で名ガイドとして人気を集め、また写経勧進という方法で、失われていた薬師寺金堂の復興を果たしています。
他の建物が次々と再建され、薬師寺は、ついに、1998年の「古都奈良の歴史的建造物」の名でユネスコ世界遺産に登録されるまでとなりました。
薬師寺の建物
南門と中門
南門をくぐると、中門がすぐ前に見え、その両脇には回廊が続きます。
この中門は1984年に再建され、1991年には二天王の銅像が復元されて祀られました。
金堂
現在の金堂は、正面の長さ約27m、奥行約16mの美しく立派な建物ですが、実は1528年に兵火により焼失したあとは、長い間ずっと仮堂となっていました。
それを再建したのが、1976年のことで、裳階のある『竜宮造り』という、オリジナルの豪華な姿が戻ってきたのです。
薬師三尊像
金堂の中には、国宝である薬師三尊像が祀られています。
飛鳥時代後期に作成されたとされていて、白鳳時代の仏教美術の最高傑作として日本の仏教美術を代表する存在です。
○薬師如来:薬瓶のない高さ254.7cmの薬師如来像。「裳懸座」と呼ばれる台座に座っている
○日光菩薩:薬師如来の右側。高さは315.3cm。
○月光菩薩:薬師如来の左側。高さ317.3cm。
薬師寺の東塔と西塔
薬師寺の代名詞でもある東西の三重塔!
国宝の東塔は、薬師寺内で現存する唯一の木造建築です。
塔の高さは34.1 メートルで、一見すると6階建ての塔のように見えますが、これは各階に裳階をつけ、大小の屋根があるためです。
米国の美術史家フェノロサが塔の美しさを「凍れる音楽」と表現した、とも言われています。
近い将来に発生が予想される南海トラフ地震を見越して、塔を修復することが緊急に必要だったため、約110年ぶりに東塔は解体・修繕が行われました。
その建物を覆う屋根が取り外されたのが、ようやく今年の春です(2020年)。
修繕中は、塔の上の近くまで上がることが出来、新しく製作された『水煙』をみることも出来たんですよ!
西塔は1528年に焼失し、1981年に再建されました。
見た目は東塔よりも少し高いのですが、計算して作っているので、将来的には同じ高さになるらしです。
色以外で言えば、2つの塔は非常によく似ていますね。
大講堂
高くそびえる金堂とは対照的に、横に伸びる大講堂は壮大!
2003年に再建されたものですが、境内最大規模の建築物であり、正面約41メートル、奥行き約20メートル、高さ17メートルの大きさがあります。
大講堂の中では、弥勒三尊像を初めとする、奈良時代の貴重な文化財をみることができます。
とても分かりやすくて楽しい法話を聞くことも出来ますよ!
鐘楼
「東僧坊」の南側に隣接する鐘楼です。
地面近くにあるため、一般的な寺院の鐘楼とはイメージが異なりますが、鐘を鳴らすことはできません!
ただ、恒例の「除夜の鐘」の時はにぎわいを見せるそうですよ!
東僧坊
東僧坊は現在、休憩所として利用され、薬師寺のお土産や本などを買うことができます。
「水煙」や国宝の薬師如来の模型も見る事もできますよ。
また、薬師寺のお坊さんによる説法も随時行われています。
興楽門
薬師寺の北門である興楽門です。ここは正面玄関ではありませんが、門はとても壮観です。
ここからは入れませんので、少し進んだ北受付から入りましょう。
薬師寺のお写経道場で写経に挑戦!
金堂などがある部分を、薬師寺の『白鳳伽藍』と言いますが、北受付を出て石畳の道を歩いていったところにある部分を『玄奘三蔵院伽藍』といいます。
中国唐代に活躍した実在の僧侶、玄奘三蔵の遺徳を後世に伝えるべく1991に建立された建物などがあります。
その、玄奘三蔵院伽藍と北受付の間にある建物が、お写経道場です。昭和43年より、『白鳳伽藍』の建築物を復興させるために、お写経勧進が始められました。
薬師寺建立を考えた天武天皇も、国家安穏と万人豊楽を願ってされたとされるお写経。
お経を一文字一文字丁寧に書き写すことで、心を落ち着けて、自分自身を見直す良い機会になります。
薬師寺のお写経の受付
入口で靴を脱いで入ります。靴は靴箱へ。
まずは、受付にあるテーブルで申込書に記入します。
お写経に必要な筆などの用具は、すべて用意してくれているので、手ぶらで入って大丈夫です。
申込書を書き終わったら、納経料を収めて、写経用紙と輪袈裟を受け取ります。
薬師寺のお写経の納経料
納経料は行う写経によって変わります。一般的な般若心経は2,000円
くわしくはこちら
ただし、納経料を収めれば、『白鳳伽藍』と『玄奘三蔵院伽藍』へ無料で入ることが出来ます。参拝券をいただけるので、失くさないようにしておきましょう。
薬師寺のお写経道場へ
大体、1時間以上は掛かるので、必要であれば先にお手洗いを済ませておきましょう。
お手洗いに行く時は、輪袈裟を忘れずに外してくださいね。
道場入口には、漢方薬の一種である「丁子」が置かれているので、口に含んで道場に入ります。体内を清める意味があります。
お写経中は、出来るだけ口に含んだままにしておいてください。
道場に入ると、象の置物(香象)をまたいで進みます。ここでまた体内を清めるのですね。
空いている席なら、どこに座っても構いません。輪袈裟を首に掛けて、写経を始めましょう。初めての時は、係の方がきちんと教えてくれるので、心配はいりませんよ。
写経が終わったら、お写経用紙を持って、前方の仏さまのところへ行き、置かれてあるトレー(納経盆)に納めます。
お願いごとを心の中で唱えてくださいね。
薬師寺のお写経道場へ通った場合
お写経を3巻収めると、3回目の写経が終わった時に、受付で『写経勧進納経集印帖』がいただけます。
毎回、押印してもらえるので、忘れずに持って行きましょう。
1冊につき、12回分の押印がしてもらえます。
1冊が終われば、次は表装の色が違う集印帖がまたもらえるようになっていますよ
まとめ
薬師寺とお写経道場、いかがでしたでしょうか。
薬師寺の『白鳳伽藍』、金堂、東塔・西塔・大講堂といった、それぞれの建築物についてと、お写経道場についてご案内いたしました。
奈良の観光に行く際、また奈良をご案内する際は、ぜひ薬師寺まで足を伸ばしてみてくださいね。
そして、時間があれば、ぜひお写経を行ってみてください。
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