2018年から新しく加わった、シチュエーション応対の試験対策はどんな練習をしたら良い?
旅行中のトラブルは本当に色々なケースが考えられるけど、試験に出るパターンはあるね。今回は、予定していた観光地に行けない時のことを考えてみよう。
新しく通訳案内士試験の2次試験に取りいれられた、シチュエーション問題。
より、通訳ガイドとしての素質が問われる試験になってきたのではないでしょうか。
ただ、シチュエーション問題と言われても、どう試験対策して良いか分からないですよね。
旅に出れば、あらゆるタイプの問題が起こりえます。
ある程度、どんな問題が出るか、的を絞って練習してみましょう。
過去問などからも、想定されるシチュエーションを色々と考えても良いですが、参考にした本がありますので、ご紹介しておきます。
True Japan Schoolが出しているCD2枚付 全国通訳案内士試験「英語2次(口述)」合格! 対策 (単行本(ソフトカバー))では、ホスピタリティを重視する、新しい通訳問題に対処しています。
Amazonでは、試し読みも出来るので、一度見てみてくださいね。
通訳問題パートでは、日本語の音声問題に、その英訳、そして、実際にガイド中に想定される状況が30問題、用意されています。
さらには、それぞれの音声に対して、メモ取りの方法も出ているので、とても勉強になりますよ。
色々なシチュエーションが考えられますが、今回は、予定の観光地へ行けなかった際の対応方法を書いてみます。
シチュエーションの条件をよく把握しよう
通訳問題が終わると、外国人面接官から、そのトピックと関係した、現場で想定されるトラブルが書かれたA4サイズの紙が渡されます。
その中には、色々な条件も書かれています。
設定された状況によって、対応も変わってきますので、しっかり条件を把握しましょう。
・お客様は個人客なのか、グループ客なのか
・その後のお客様の予定はどうなっているのか
シチュエーション応答を考える前に、そのツアーがエージェントを通して受けた仕事であれば、何か起きた時に、『まず一番に担当者に報告する』、は絶対に必要なこととなります。
旅行業約款等でも、旅程保証などの責任がエージェントには課されているので、ガイドが勝手に行程を変更したり、大きな決定をすることは出来ません。必ず、エージェントの指示を仰ぐ必要があります。
それを踏まえた上で、トラブル発生時に、お客様とどのような会話をするべきかを考えていきましょう。
相談する必要があるのはもちろんですが、シチュエーション応答の際に、なんでも「担当者に相談します」で終わってしまっては会話が続きません。
求められているのは、『ホスピタリティ』ですので、どのような応対をするのが、お客さまの安心・満足に繋がるのかを考える必要があります。
もちろん、個人で受けたお仕事であれば、臨機応変に対応できるようにしておきましょう。
予定観光地へ行けなくなった時の対応
私が、実際に2次試験を受けた時のシチュエーション応答も、この予定観光地へ行けなくなった時の対応でした。
まず、通訳問題では、箱根についての問題がでました。
その後、いただいた条件の紙には、
・天気が悪く、予定していた箱根遊覧船もロープウェイも乗れなくなった
・お客様は個人客
・今晩には東京に戻る予定
とありました。
この条件を設定したということは、出来る範囲でスケジュールを変更するということが求められていると考えられます。
この手の問題が出された時は、お客様の気持ちによりそった上で、代替案を出すのがベストでしょう。
状況説明は相手の気持ちになって
今回の設定では、天候が悪かったため、予定していた乗り物がキャンセルになりました。
長くガイドや添乗員をしていれば、天候が悪いことなど頻繁にあって、慣れていますが、お客様にとっては1回きりの旅行です。
天候のために仕方はないとは言うものの、キャンセルのことをお客様に伝える時には、なるべく相手の気持ちを想像しながら伝えるようにしましょう。
I regret to say that~ といった文などを使い、本当に残念なんだけれど、という気持ちを見せた方がよりホスピタリティを考えていると判断されるのではないでしょうか。
代替案を提案する前に
次は、いよいよ本題に入ります。
『残念ながら、遊覧船とロープウェイがキャンセルになりました』、とお客様に伝えるだけでは、ガイドとしては失格です。
では、その代わりに、何が出来るかを提案しましょう。
ただ、お客様によっては、事前に観光地のことを調べている方もいらっしゃいます。
まずは、何か希望されていることがないか聞いてみましょう。
代替案はいくつか提案する
お客様が、何をして良いか全く分からないとなった時は、いくつか他の案を提案しましょう。
たまたま、私は、箱根のツアー作成に係わったことがあったので、箱根で雨の日に何が出来るかなんとなく分かっていました。
温泉に町歩き、箱根の関所や植物園、などです。
ただ、試験の時に感じたことですが、試験官は代替案のリストを持っていて、そこへ誘導するかのようでした。
例えば、私は温泉や関所を案内したのですが、どれも嫌で、美術館はないのかと聞いてこられました。
箱根といえば、箱根美術館や彫刻の森美術館など有名な美術館が多く、それらの答えへ誘導しようとしているようでした。
しかし、私は、どの美術館も思いつかなかったので、箱根関所の近くにオルゴール館があったことを思い出して、それを伝えることしか出来ませんでした。
それでも特に問題なかったので、分からなくても、何か関連することを出来るだけ答えるようにしたら良いかもしれません。
それでも、全く何も出てこない時は、少し待ってもらえたらすぐ調べます、と答えるのでも良いかもしれませんね。
有名観光地について調べておくこと
観光地に行けなくなったシチュエーションは、今後も定番ででてくると思われます。
たまたま知っている観光地であれば、代替案も出しやすいですが、全く知らない土地だと難しいですね。
少し広範囲であっても構わないので、最低限案内出来る場所を用意しておくと良いでしょう。
また、箱根の有名な食べ物を食べてみたいとも言われました。これも、多分、マニュアルに書かれているようでしたので、調べておくと良いと思います。
札幌・函館・仙台・東京・京都・大阪・広島・福岡・長崎周辺など、その県の有名な場所(晴れた時に行ける場所と雨でも行ける場所)と名物はいくつかチェックしておくと良いでしょう。
まとめ
通訳案内士の2次試験では、合否判定にホスピタリティが追加されました。
それと共に、通訳問題の後に、通訳ガイドとしてシチュエーション問題が出題されるようになりました。
通訳ガイドとして、現場でお客様と対面した時に、何がお客さまにとって最善かを考えるのは非常に大切です。
旅を予定通りに進める事が、ガイドや添乗員の仕事ですが、なかなかそう毎回上手くいくわけでもありません。
思いがけないトラブルが起こった時に、どれだけ適切に動くことが出来るかで、お客様の満足度は左右します。
対応の仕方によっては、トラブルがあったからこそ、お客様から高い評価を得られることもあります。
試験の対策としてだけではなく、実際に現場に出ていると想定して、どうお客様と接するか、を考える事が、結果として試験の合格に繋がりますね。
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